口福のお正月
毎年,お正月の準備は時間との闘いになる。3日間ゆっくり過ごすために,買い物をぬかりなく済ませなければならない。
近所のライフは3が日はお休みで,駅前の阪急オアシスも3日からしか開けてくれない。
それ以上遠くに出かける気にはならないので,買い忘れがないよう真剣勝負になる。
昨年は,1日早めに仕事収めをした関係で,少し心にゆとりがあったため,梅田のデパ地下をはしごすることにした。
凄まじい人出にうろたえながらも,ほしかったものが色々と買えたが,なぜか一つづつ消してゆくはずの携帯の年末買い物メモは全く減らない。どうやら食品売り場を満喫しすぎて,必要なものが買えていなかったようである。
そんな段取りの悪さを発揮しながらも,何とか新年の買物をを終えることができた。
1日から卵の賞味期限が切れていたことを発見するというアクシデントもあったが,おかげで駅前のダイエーさんが1日から営業していることを知った。なんてありがたいのだろう!ダイエーさんだけさんづけしてしまう。
そんなこんなで3が日が終わろうとしているが,今年もおかげさまでおいしい食品にいろいろ出会うことができた。
とりわけ感動したのは,大阪中央卸売市場井内水産さんの明石鯛を使った「魚まち」さんの祝い鯛!
これは焼き鯛ながら,お刺身を感じさせるフレッシュさがあり,全くパサつきのない白身のみずみずしさが鮮烈な印象を残してくれた。
広島産生食用のカキは,贅沢ながらカキオコ(カキ入りお好み焼き)にたっぷり使わせていただいた。
3時のおやつにいただいたのは,「PARIS-h」さんのパン。
あまりの人気店のため,最近はここぞというときにしか買えないため今回も予約したが,噛みしめれば噛みしめるほど味わいが深く,良質な素材を惜しみなく使っておられることがよくわかる。
シェフはパティシエのご出身だとお聞きしており,焼き菓子も美味しいし,菓子パンも果物やナッツ等,素材へのリスペクトと独創性を毎回感じるが,一押しはあえてレーズンの食パンである。シェフの実力がじわじわと伝わる唯一無二の食パンである。
夕食の後のデザートは,やはり予約して手に入れたPatisserie 「Philo &Co.」のタルトタタン。
何と年末年始も営業しておられて,新鮮な美しいスイーツをお正月からいただくことができる。
タルトタタンは深い甘さの中にリンゴの酸味も感じられ,焼き色の美しさにも感動した。
いつも頑張っておられるシェフと若いスタッフの皆さんに頭が下がる。
こんな買物ができるのもお正月ならでは。それぞれのお店の気合いの入った作品を新年から味わうことで,作り手の心とエネルギーをいただくことができた。まさに,作品は人であると思う。
以上,美味しすぎて,一枚も写真を撮るのを忘れて食べてしまったお正月であった。
今年もたくさんの方々にお会いし,その心意気を感じられる一年にしたいと思う。
困難な時代だが,共にエネルギーを交換し合いながら,少しでもよい日常,よい世界になるよう微力を注ぎたいと思う。
本年,皆様により多くの,いろいろな形の幸福が訪れることを,心より祈念します。
本年も,どうぞよろしくお願いいたします。