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商店街が大好きである。そこで働くお店の人達が大好きである。いい商品が安く買えると,とりわけうれしい。

お茶碗を買って,「デパートではこんな値段で買えへんで!」と店主の自慢を聞くのが大好きである。ついでに仕入れ先とか,お店を継ぐことになった経緯とか,色々話をしてくれるのが本当に楽しい。

「向かいのお店の唐揚げが美味しい」とか,「ご主人は朝の4時半から鳥をさばいてはるから間違いない」とか,そんな話を聞いた後に買って食べると,もっと美味しく思えるからありがたい。

工夫して,楽せずに良い商品や食材を安く仕入れて,全然欲張らない値段で提供してくれている。sustainableギリギリの利潤かなと思うが,毎日そこに来てくれる人がいるから続くことができる。

高齢の店主さん達は,お店に来るお客さんに商品を提供するのを張り合いに,毎日健康維持をして頑張っておられる。

「まだまだ頑張るからまた来てな!」と言ってくれると頼もしい。本当に,できるだけ長く続けてほしいと思う。

商店街に続く路地,すでにワクワクする。

この値札,フェイクではない!「ここのトマト食べたら他では買われへんわなあ」と近隣のシニアマダム達がワイワイ話している。

風神雷神に見下ろされながら美味しい珈琲を飲む。

「何で仏像がたくさんあるんですか?」と尋ねると,マスターは「茶を喫する」という行為の人生における重要な意味について語ってくれた。

ついでにスターバックスの悪口も言っておられた。とても興味深い。

近くのショッピングモールに先月スタバがオープンしたことを知っておられるのも,情報通である。

ここは「地獄谷」という秘密の飲み屋街(?)に続く細い細~い路地。みつけるのは難しい。

出町マンが迎える京都の桝形商店街では,いちごを2パック500円にしてくれた(ラッキー!)。

    

京都国際写真展の会場,誉田屋源兵衛さんのお店の,まさに息をのむ青紅葉。

帰り道の商店街は,残念ながら日曜日はお休みのようだった。

 

商店街を歩いていると,利潤追求ということの意味について色々考えてしまう。

思えば戦後の日本企業の躍進は,世の中が必要とする良い商品を作ろうという職人気質と,身を挺して真面目に働く多くの社員がいたからである。

ただ真面目に工夫して働き続けてきた結果,ふたを開けてみたら経済的成功を得ていたのであり,最初から利潤を最大化すべく作戦を練って狙った成果ではないと思う。

ただ,グローバル社会の競争の海に投げ込まれた我々は,それだけでは生きていけなくなってしまった。

次々と目新しい新商品を生み出さなければならず,本当にいいと思うものをシンプルに売りづつけることは,もはや食品でさえ難しくなっている。

利潤追求のためには,人が必要とするものを「思いつく」だけではなく,むしろ作り出さなければならず,ひいては消費者を商品を必要とする人に変えてゆかなければならない。

そして不思議なことに,実際に「もの」を作る人の利潤はどんどん薄くなる一方で,「もの」を思いついたり,「売り方」を思いつく人たちが巨額の富を得るようになった。

格差の出現である。

同時に日本社会の価値観も変わって来た。

思えば私達は,幼少期から「足るを知り」,贅沢を慎む教育を受けてきたし,儲かった自慢が尊敬の的になるようなことはなかったと思う。

しかしながら,グローバル資本主義社会の価値観は全く異なっている。

あくなき利潤の最大化,しかもできるだけ楽に多くの利潤を得る方法の考案,店舗数の拡大,使いきれないほどの巨額の役員報酬,宇宙までの支配しようとする果てしない野望とチャレンジ精神。

そのような価値観を軸に置く世界の企業と競争を強いられる中で,日本企業も必死に変わって来た。

でも,取り残された人達もたくさんいる。それは,価値観の変遷についていけない,あるいはついていきたくないという至極自然な現象だと思う。

日本人の幸福感が下がっているといわれ,私は日々の仕事の中で顕著な傾向だと感じている。

職場のメンタルヘルスの問題も,結局は異なる価値観を強いられて働かされる中で起こる,ある意味自然な反応と言える部分が大きいと思う。

この先のグローバル社会の中で,私達の心身に染み付く価値観をどのように守ってゆくのか,あるいはどのようにして変化を受け入れていくのか,それが幸福感の低下を阻止するヒントだと思う。

高齢化し廃れていくといわれる商店街を,どのようにsustainableなものにし,地域のコミュニケーションと生きがいをどのように守ってゆくかのヒントも,同じところにあると思う。

大好きな商店街とそこに存在する価値をどのようにして守ってゆくか,買物をしながら考える毎日である。

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